温泉&やど 関西 2005年版

豊潤な瀬戸内の恵みがすべての基本。
地の利を生かした創意工夫でもてなし。

 湯から上がり、温泉たまごを片手にあずまやへ下りていく。一服していると、「湯上りに散策を楽しまれるお客様も多くいらっしゃいます」と、吉井常務の弁。ちょうど宿からすぐの海岸沿いに遊歩道があり、春には5千本の桜が咲き乱れる。これを目当てに訪れるリピーターも多いという。
 夕食は食事処「御崎亭」で。囲炉裏式のテーブルをにぎわすのは、豪快さと繊細さを併せ持つ磯の香り豊かな逸品。その日揚がった瀬戸内の恵みが存分に味わえる。料理長のこだわりで仕入れた一点ものの器も印象深い。また、酒をたしなむ向きには地酒もおおすすめ。その日の献立に合わせて厳選された地酒数銘柄を、あらかじめロビーで利き酒することができる。試飲したうえで好みの銘柄を伝えておけば、夕食の折、杯を傾けられるというわけだ。
 景勝地、赤穂御崎の先端—。ロケーションは確かに素晴らしいが、風呂のしつらえ、料理、サービスと、地の利をもてなしに生かす工夫と心意気こそが、この宿のなによりの魅力になっている—そんなことを考えながら眠りに落ちる。宵の闇には、静かに潮騒が届いていた。

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